心臓リハビリテーション
心臓リハビリテーションを実施しています。
心不全や心筋梗塞後の患者さんの多くは高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満などを合併しています。外来担当の医師からは受診するたびに、“運動してください” “体重を減らしてください”と耳にタコができるほど聞かされていませんか?
でも、実際には運動したくても、“心臓病なのに運動していいの?”とか、“どのくらいの運動までやっていいの?”といった疑問をお持ちのことと思います。
しかし、現在では適切な運動は心臓病の原因のひとつである動脈硬化の進行を抑えたり、日常生活での息切れや疲労感の改善や再入院予防効果が科学的に証明されています。適度な運動はご自分の判断では困難であるため、心臓リハビリに参加して安全性を確認しながら最適な運動量で運動療法を行っていただくことをお勧めいたします。
心臓リハビリテーションとは?
心臓リハビリテーションとは、心臓病の患者さんが、体力を回復し自信を取り戻し、快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することを目指して行う総合的活動プログラムのことです。
心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓手術後などの患者さんは、心臓の働きが低下し、また安静生活を続けたことによって運動能力や身体の調節の働きも低下しています。そのため退院後‘どの程度活動しても大丈夫なのか‘がわからないため不安になります。心臓病の原因となる動脈硬化の進行を防止することを目指して食事指導や禁煙指導も行います。
心臓リハビリテーションでは、専門知識を持った医師、その他の専門医療職が関わって、患者さんひとりひとりの状態に応じた効果的なリハビリプログラムを提案し、実施します。
心臓リハビリテーションにより期待される効果
1.心肺機能・運動能力が良くなり日常の動作が楽になります。
2.心臓病患者さんの心臓機能の悪化を予防します。
3.心筋梗塞の再発や突然死が減り、死亡率が減少します。
4.心不全の悪化による入院が減少します。
5.心臓病の原因となる危険因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病)が軽減します。
6.ストレスや不安、うつ状態が改善し、気持ちが楽になります。
7.筋肉や骨が鍛えられ、疲れにくくなり、心臓の働きを助けます。
その他、多数の効果があります。
心臓リハビリテーションを行うことにより、行わなかった場合と比べて、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)患者さんの心血管病による死亡率が26%低下し、入院のリスクが18%低下します。心不全患者さんの心不全による入院が39%低下することが証明されています。
(心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン、日本心臓リハビリテーション学会Hpより引用)
心臓リハビリテーションの対象となる疾患
・心筋梗塞
・狭心症
・心臓手術後
・大血管疾患(大動脈解離、大血管術後)
・慢性心不全
・閉塞性動脈硬化症
など
慢性心不全とは?
(厚生労働省 ホームページより引用)
“慢性心不全”とは、“病名”ではありません。慢性心不全とは様々な心臓の病気により全身に血液を送り出す心臓のポンプ機能が低下し、身体に十分な血液を送り出せず様々な影響を及ぼす状態のことです。この状態が長期的に続き心臓の機能が落ちることを慢性心不全といいます。
心不全には4つのステージがあり、ステージAは主に危険因子のコントロール、ステージBでは心不全の発生予防、ステージCでは入院・死亡回避、ステージDでは再入院回数の減少・終末期ケアとなっています。ステージDでは治療が難治化し、在宅医療や介護は必要となり、寝たきり状態になってしまいます。
当院での心臓リハビリテーションでは身体機能の低下を防ぎ、再入院率を減らして、QOL(生活の質)の向上・改善に努めていきます。また、運動療法だけでなく、生活指導・患者教育・カウンセリングといった包括的なサポートを継続して行います。
心臓リハビリテーション開始までの流れ
診察を受けていただき、現在の身体状態を把握するための心肺運動負荷試験を実施する日を予約します。医師、専門医療職管理の下、マスクをつけて自転車を漕いで検査をします。検査の結果から、患者さんひとりひとりの状態に合った運動の強さで運動プログラムを作成します。
その後、心臓リハビリテーションを行う日の予約を取って、開始となります。また、状態の変化に合わせて定期的に心肺運動負荷試験を再実施して運動プログラムを見直していきます。
心臓リハビリテーションの流れ
来院されたら受付に“心臓リハビリテーション予約カード”と“健康管理手帳”を出します。
※予約カードと手帳は初回リハビリ時にお渡しします。
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ロッカーにて動きやすい服装に着替えていただき、約60分の心臓リハビリテーションを行います。
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次回の予約をして、終了です。
当院での心臓リハビリテーション内容
体重測定・心電図の準備
リハビリ開始前に、毎回体重を測ります。リハビリ中は心電図モニターを装着し、変化があれば即座に対応致します。
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準備体操(ウォーミングアップ):10分
運動を行う前に身体を慣らしていきます。
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筋力トレーニング:10分
準備体操で身体を慣らした後、重りやゴムバンドを使って筋肉に負荷をかけながら動かしていきます。
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機械を使った有酸素運動:20分
心肺運動負荷試験の結果に基づき、患者さん一人一人に適した負荷量を設定して、自転車エルゴメーター(図1)やリカンベント型自転車エルゴメーター(図2)を用いて運動を行います。座って行うため歩くのが苦手な方や足腰に負担をかけられない方でも簡単に有酸素運動が行えます。
また、歩くのを希望される方はトレッドミル(図3)を使うことも可能です。手すりが付いているため、安心して有酸素運動を行うことが出来ます。
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整理体操(クールダウン):5分
最後に動かした身体を整えて終了です。
※来院時・筋力トレーニング後・有酸素運動後に血圧測定を行います。
心臓リハビリテーションの日時
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
9:30~ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
11:00~ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
14:30~ | ◯ | ◯ | - | ◯ | ◯ | - |
16:00~ | ◯ | ◯ | - | ◯ | ◯ | - |
・1クール、最大4人で行います。
・予約を取っていただきます。
余談
実際に心臓リハビリテーションをされている方々の声です!
などなどのお声をいただいています。
心肺運動負荷試験の結果の一部ですが・・・
Peak VO2とは、最高酸素摂取量といい運動耐容能の指標になります。また運動耐容能とは、どれくらいまでの運動に耐えられるかの限界をいいます。
心臓リハビリテーションの継続でこれだけの変化がありました!
心臓リハビリテーションを続けることで生活の質(QOL)が改善されます。当院では患者さんがより良い生活を送れるように包括的にサポートしていきます。
心臓リハビリテーションに興味がある方は、医師・看護師・その他スタッフにお申し付けください。